『ローザ・パークス自伝』公民権運動に人生を捧げた不屈の物語

自伝

読書ミュージアム館長の秋月春花です♪

本日は、バス・ボイコットなどの公民権運動で知られるローザ・パークスによる本『ローザ・パークス自伝』についてレビューしていきます。

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販売業者大日本印刷株式会社
運営責任者田宮 幸彦
所在地〒141-8001 東京都品川区西五反田3-5-20
電話番号0120-29-1815

 

地球が誕生して以来、人類は多くの差別の歴史を経験してきました。

本作『ローザ・パークス自伝』は、バス・ボイコットを始めとしたアメリカ公民権運動の先駆者として知られるローザ・パークスによって書かれたものです。

アメリカの歴史の中で繰り広げられてきた人種差別に意義を唱え、黒人たちの権利を勝ち取るために闘った一人の女性の物語、といったところでしょうか。

結論から先に申し上げて、『ローザ・パークス自伝』は誰もが読むべき必読の書であると言うことができるでしょう。

人類の歴史の中で繰り返されてきた人種差別。

不当な法律は撤廃されてきたとはいえ、残念ながら現在でも差別が根強く残ってしまっているのが現実です。

そしてそれは遠い外国だけの話ではなく、私たち日本人にとっても、アジア諸国との関係を語る上で避けては通れない問題と言えるでしょう。

そんな『ローザ・パークス自伝』が一体どういった作品なのか、実際に読んだ感想など、これから下記に綴っていきますね。

『ローザ・パークス自伝』の著者はローザ・パークス

『ローザ・パークス自伝』の著者は、1913年にアメリカのアラバマ州にて生誕したローザ・パークスです。

1955年12月、モンゴメリーにて白人乗客にバスの座席を譲るよう運転手から言われるも拒否し、逮捕されたことがきっかけでバス・ボイコット運動を展開。

アメリカの公民権運動の先駆者として闘いを挑んだ人物として知られています。

本作はバス・ボイコット運動を起こすに至った詳しい経緯や生い立ち、実際に経験してきた差別など、ローザ・パークスその人を形成してきた環境や信念について書かれています。

2005年10月に逝去されましたが、彼女の行動はすべての人びとの平等と平和、そして人びとの共生を願うものであり、私たちにはその意思を受け継いでいく義務があると言えるでしょう。

『ローザ・パークス自伝』の内容

では、『ローザ・パークス自伝』とは一体どんな内容の本なのでしょうか。

章を一部抜粋して見ていきますね。

モンゴメリーの学校生活

1955年12月のその日が、すべての始まり――本作の著者ローザ・パークスは白人にバスの座席を譲ることを拒否したことで逮捕されました。

この出来事から過去に遡り、著者の両親や祖父母、曾祖父や弟シルベスターなど、家族にまつわる思い出が綴られています。

他、著者が学校に通い始めた頃の話やモンゴメリーで送った学校生活の話へと続いています。

その中では、学校自体がすでに白人と黒人とで大きな違いがあったこと、白人の子どもとのいざこざなど、子どもの頃から人種差別の渦中にいたことが明かされました。

選挙権獲得のために闘う

後に夫となるレイモンド・パークスとの出会いから結婚、彼の活動家としての闘いが語られています。

他、著者の選挙権獲得のための闘いや著者自身の全国黒人向上協会での活動について述べられています。

当時のアメリカでは、選挙登録ひとつとっても黒人にとっては非常に困難なことであり、黒人たちがいかに抑圧された環境の中にいたかを物語るものでした。

また、著者がバスから初めて降ろされる経験をしたのも、この頃の出来事です。

バス・ボイコット運動の始まり

バス・ボイコット運動における詳細が綴られています。

1955年12月1日、運命のその日――運転手が白人に席を譲るよう著者に迫ったとき、彼女はきっぱり「ノー」と拒否したことで逮捕されました。

この逮捕により、ついに爆発した黒人たちの怒り――12月5日の著者の裁判に合わせて、その日はバスに乗らないよう指示したビラが配られます。

そして迎えた当日、一部バスに乗る黒人もいたものの「空っぽ」になった市バスが町を走る姿がありました。

自由への行進

バス・ボイコット運動に対する白人からの圧力、それに決して屈することなく闘い続けた黒人たちの姿が描かれています。

モンゴメリー以外の人びともバス・ボイコットに大きな関心を寄せるようになり、キング牧師による公民権運動が活発になりました。

そんな中でついに1956年11月13日、モンゴメリーのバスの人種隔離は憲法違反である旨の判決が下され、一つの小さな勝利をつかみ取ります。

1955年のあの日以降、著者の人生は大きく変わり、人種差別関連の法律もすべて撤廃された一方で、今も根強く残る人種差別を心配する著者の想いが綴られています。

『ローザ・パークス自伝』に登場するその他の指導者

ここでは、『ローザ・パークス自伝』に登場するその他の指導者について書いてみますね。

マルコムX

アメリカ公民権運動にて活躍し、黒人解放のために闘った人物の一人。

黒人の権利を勝ち取るためには暴力をも辞さない考えであったことは非暴力を貫くキング牧師との大きな違いではあるものの、互いに尊敬する心を持っていたようです。

1965年に暗殺されますが、彼の思想は周囲に大きな影響を与えました。

著者ローザ・パークスは、本作の中でマルコムXの考えについては「まったく反対ではありませんでした」と述べています。

マハトマ・ガンディー

「インド独立の父」であり、イギリスからの独立運動を指揮する際、徹底して「非暴力、不服従」を貫いたことで知られています。

彼の非暴力を象徴するものとして最も有名なものに「塩の行進」が挙げられるでしょう。

これはイギリス植民地政府による塩の専売に反対するための抗議運動であり、インドで虐げられていた多くの人びとの心を鼓舞し、独立への原動力となりました。

彼の思想はアメリカにおける公民権運動にも大きな影響を与えています。

マーチン・ルーサー・キング

「キング牧師」と呼ばれる人物で、アメリカ公民権運動の指導者の一人です。

マハトマ・ガンディーの非暴力思想に感銘を受け、アメリカでの公民権運動においても徹底して非暴力主義を貫きました。

ローザ・パークスがバスを降ろされた事件に激しく抗議し、バス・ボイコット運動を先頭に立って指揮した人物でもあります。

彼の雄弁には聴衆を惹きつける力があり、「I have a dream」の演説はあまりにも有名ですね。

1968年に暗殺されましたが、彼の名を冠した祝日や通りがつくられるなど、アメリカ社会を形成する上で大きく貢献した人物として高く評価されています。

池田大作

創価学会名誉会長、SGI(創価学会インタナショナル)会長、創価大学創立者として知られ、日蓮仏法のヒューマニズムに基づいた平和・文化・教育運動を展開。

日蓮仏法のヒューマニズムとは人間主義のことであり、一人ひとりとの対話を重んじることで世界各国の首脳や識者と対談を重ね、真心の友情を結んでこられました。

その中には本作の著者ローザ・パークスとの出会いもあり、著者の功績を最大限に讃えられています。

また、SGIの各運動は世界中で高く評価されており、世界各国の大学・学術機関から名誉称号等を授与されています。

他、桂冠詩人や作家としても活動しており、代表作として小説『人間革命』、『新・人間革命』が挙げられるでしょう。

一人の人間革命が一国の宿命を変え、やがては全人類の宿命をも変えていく――不幸に泣いてきた人びとの信仰による蘇生のドラマとともに、言われなき中傷や偏見そしてデマや悪と闘い続けてきた創価学会の真実の歴史が語られています。

『ローザ・パークス自伝』のレビューと感想

ここからは、『ローザ・パークス自伝』のレビューと感想について書いていきますね。

人種差別――こう聞くと、白人による黒人差別を思い浮かべる方は少なくないと思います。

肌の色が違うというだけで住む場所や職業、学校、乗り物など、ありとあらゆる面で不当に差別を受け、それを当たり前とする法律が、つい最近まで存在していました。

法律で人種差別が合法化されていたなんて、信じがたい話ですよね。

現在では人種差別関連の法律はすべて取り払われているものの、TVでの報道などを目にすると、未だに根強く差別が残っていることがよくわかります。

そしてそれは遠い外国だけで起こっている話ではなく、残念ながら私たち日本人にとっても身近な問題であると言えます。

例として、海外に行った日本人を挙げてみましょう。

海外旅行などに行った際、「日本人だからというだけでバカにされた!」と腹を立てる日本人はまれにいますが、私の経験上そうやってわめき散らしている日本人ほど普段から外国人を下に見ていることが多いです。

特に中国や韓国の人びとに対しては、平気で見下した態度を取っているように思います。

歴史的に見てみれば現在まで尾を引いている難しい問題も山積しており、互いに複雑な感情を持ってしまうのも致し方ない部分はあるかもしれません。

私は歴史家ではないので、ここで各国の歴史について語るつもりはありません。

しかし、たとえ歴史的な面での課題はあったとしても、だからと言ってその国の人たちを差別してもいい、ということにはならないはずです。

同じように、肌の色が違うというだけで差別されることなど本来あってはならないはずなのに、世界を見てみれば肌の色の違いだけであらゆる差別を受けてきた人びとがいる――考えたくないけれども、悲しい歴史の事実です。

本作はアメリカ南部のアラバマ州における人種差別について描かれていますが、アメリカ以外でも人種差別が平然と行われている国がありました。

南アフリカ共和国のアパルトヘイトは有名ですね。

ナチス・ドイツによるホロコーストも、ゲルマン民族は優秀でありユダヤ人は下等であるとする「反ユダヤ主義」に基づくものです。

なぜ、人種が違うというだけで差別されなければならないのでしょうか。

なぜ人は、自分と違う人びとを排除したがるのでしょうか。

こういった本を読むと、人間はなんて愚かなんだろうと、なぜこんなにも人は残酷になれるのだろうと思わずにはいられません。

肌の色が違っていようとも、大切な誰かを失って流す涙や傷つけられて流す血の色、「嬉しい」や「楽しい」といった感情は同じです。

○○人だからとか△△人だからとか、肌が白いとか黒いとか関係なしに、痛みを感じる心は人間ならば誰もが同じはずなのに・・・。

虐げられ、苦しめられてきた人びとが立ち上がり、自由と正義のために闘う姿からは、「人間として人間らしく」生きたいという心からの願いが感じられ、胸に迫ってくるものがありました。

現在でも根強く残る人種差別――私たち日本人にとっても身近な問題であるだけに、本作は誰もが一度は読んでおくべき作品であると強く思いました。

『ローザ・パークス自伝』は必読の書?

私はこの記事の冒頭で、『ローザ・パークス自伝』は誰もが読むべき必読の書であると述べました。

その理由について、これから書いていきますね。

レビューと感想のところでも書いた通り、人種差別は現在でも根強く残っており、私たち日本人にとっても身近な問題であると言えます。

こう書くと、自分は今まで誰かを差別したことなんか一度もない!という反論も出てくるかもしれません。

しかしながら、人間は誰しも「他人より優位に立っていたい」という気持ちを多かれ少なかれ心の奥底に持っているものだと思います。

それは無意識下でのことなので、普段の自分の生活に表立って出てくることはありません。

たとえば頭の善し悪しとか、障がいの有無とか、生活環境やお金に関することなど、日常の中で「あの人よりは自分の方がマシ」とふと思ってしまう瞬間、きっと誰にでもありますよね。

もし今まで本当に一度でも一瞬でもそう思ったことがないのなら、その方は本当に立派な人格の方なのでしょう。

でも人間は完ぺきではありませんから、他人と自分とを比べて自分の方がマシだと、無意識であっても思ってしまうものです。

そのクセが積み重なり、行き過ぎてしまった時――自分以外の人間が劣っているように感じ始め、やがては大きな差別へとつながっていってしまうのではないでしょうか。

もちろん本作に書かれている人種差別の歴史はもっと根の深い問題ですから、上記の話と同列に語ることはできません。

何度でも書きますが、「自分はそんな人間じゃない!」とどんなに自負していたところで、人間ならば心のどこかで大なり小なり差別意識はあるものです。

そしてどんな人間であっても、何かの拍子に「差別する側の人間」になってしまいかねないのです。

本作を読むことで、人間が心の奥底に隠しているそんな差別意識と向き合い、自分を見つめ直す機会が持てるのではないかと私は考えました。

その意味で、本作は誰もが読むべき必読の書であると結論づけています。

『ローザ・パークス自伝』の口コミ

読書レビューサイトに『ローザ・パークス自伝』に関する口コミが載っていましたので、良い口コミと悪い口コミについて私なりにまとめてみました。

※一部、Amazonのサイトのものもあります。

詳しい口コミ内容については、こちらの読書レビューサイトをご参照ください(^^)

良い口コミ

まずは良い口コミから。

・バス・ボイコット運動に至るまでの歴史や他の黒人との関係性も知ることができる。
・当事者の口から語られる言葉がどれほど大切かがわかる。
・話し口調で書かれているので、とても読みやすくわかりやすい。
・この作品を読んで、彼女の生き方に感銘を受けた。
・人間の誇りや信念、尊厳とは何か――様々に考えさせられる内容だった。

悪い口コミ

では次に、悪い口コミについて見てみましょう。

・比較すべきでないとは思いつつも、マルコムXの自伝と比べたら普通の人。
・日本語のリズムと翻訳が合っていないように感じて読みにくかった。

【評価】『ローザ・パークス自伝』

ここからは、『ローザ・パークス自伝』の評価について書いていきますね。

値段はどうなの?

『ローザ・パークス自伝』の値段は文庫版で1,100円、Kindle版だと1,030円で購入できます(ともに税込)

文庫にしては高いと感じる方もいらっしゃるかと思いますが、本作は人間の尊厳や信念など様々に考えさせられるものであり、その意味では値段以上の価値はあると言えるでしょう。

気軽に読める?

本作は人種差別撤廃のために闘った女性の半生を描いた作品なので、決して明るい気持ちで読める内容の本ではありません。

こう書くとなかなか気軽には手に取りづらいかもしれませんが、人間が人間として扱われなかった歴史が存在すること、また人種差別を世の中から完全になくしていくためにも、多くの方に読んでいただきたい本です。

本作は語り口調で書かれているため、まるでローザ・パークスその人が読者に直接語りかけてくるかのような臨場感があり、その意味では読みやすいと言えるでしょう。

本当にあったことなの?

ここまで書いてくると、本作に書いてあることは実は作り話なのではないかと疑問に思われる方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、もしこれが全部作り話なんだとしたら、ローザ・パークスを始め数々の人権闘争の指導者は現れなかったはずですし、こういった本が書かれることもなかったはずですよね。

実際に歴史の中で起こった出来事であるからこそ、そしてそれを経験した当事者であるからこそ書き残せることがあり、私たちにはそれを読むことで真実の歴史を知る義務があるのではないでしょうか。

オススメできる方

本作は、こんな方にオススメです(^^)

・バス・ボイコット運動の歴史について知りたい方。
・ローザ・パークスの生き方について詳しく知りたい方。
・アメリカ社会を取り巻く人種差別の歴史や黒人の様子について知りたい方。
・人権問題や平和問題に感心のある方。

オススメできない方

こんな方には、オススメできません。

・暴力的な描写を含む本が苦手な方。
・語り口調で書かれた文章が苦手な方。

まとめ

バス・ボイコットなどの公民権運動で知られるローザ・パークスによる本『ローザ・パークス自伝』について書いてきましたが、いかがでしたでしょうか。

人種差別が当たり前のように存在していた時代、黒人の自由と正義を勝ち取るために闘った一人の女性の姿がここにあります。

白人に席を譲ることを拒否したあの日――報道機関は「彼女は疲れていたのでは?」と報じていました。

しかし、著者は本作の中で、その報道は間違いであると断じています。

著者は確かに疲れていたけれど、それは「白人のいいなりになることに対して」だったのだと。

黒人であるというだけで不当な差別を受け、まともな社会生活を送ることも許されない社会――。

黒人の誰もがそんな社会に嫌気がさし、疲れ果てていた中で、彼女の行動は抑圧の中にあった人びとの心をついに動かし、大きな社会運動となって波及していきます。

バス・ボイコット運動が始まってから、世の中は大きく変わりました。

しかし、残念なことに人種差別は今なお根強く残っています。

これまでの歴史的事実や関係を考えたとき、一朝一夕には納得できない複雑な想いがあることも事実です。

だからといって、差別しても良いということにはなりません。

人は本来みんな平等であり、誰かが誰かを支配する世界なんてあってはならないし、誰もが幸せに平和に暮らす権利があるのですから。

本作に書かれている内容はローザ・パークスが語るバス・ボイコット運動の真実の歴史であり、アメリカ社会の根底に巣くっている差別意識について描かれています。

それを変えていくには、一人ひとりの心を変えていくしかありません。

人の心なんてそう簡単には変えられないと言う人もいますが、人間らしく生きたい、平和に幸福に暮らしたいという想いは、誰しもが少なからず持っているはずです。

自分自身や自分の家族、あるいは自分にとって大切な人がもし不当な差別を受けたら――誰だって悔しいし、腹も立つし、悲しいですよね。

それは相手も同じことです。

自分が傷つけた相手にも家族がいて、大切な人がいて――悔しさ、悲しさを感じているのです。

自分だけでなく相手も同じように痛みを感じ、苦しみ、悲しむ。

それを想像することができるならば、きっと暴力も差別もなくしていけるし、やがては世界の平和にもつながっていくのではないでしょうか。

また、ガンジーやキング牧師が非暴力を貫いたように、暴力による抵抗は暴力を呼び、結果的に不幸しか生まないと私自身も考えています。

誰もが幸せに、平和に暮らせる世界をつくっていくためには、まずはあなたの目の前にいる一人を大切にし、心と心を通わせるところから始まると言っても過言ではないでしょう。

少し重い内容ではありますが、秋月春花が自信を持ってオススメするので、あなたもこれを機に本作を通して人権や人間の尊厳について考えてみませんか。

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