逆転時計で過去へと旅する――舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』脚本

イギリス文学

読書ミュージアム館長の秋月春花です♪

本日は、逆転時計で過去と現在を往き来する『ハリー・ポッターと呪いの子』の舞台脚本についてレビューしていきます。

J・K・ローリング、ジョン・ティファニー、ジャック・ソーン『ハリー・ポッターと呪いの子』(静山社)

『ハリー・ポッターと呪いの子』がどういった作品なのか、実際に読んだ感想など、ありのままに綴っていきますね♪

販売業者アマゾンジャパン合同会社
運営責任者ジャスパー・チャン
所在地〒153-0064 東京都目黒区下目黒1-8-1
電話番号0120-899-543

 

『ハリー・ポッターと呪いの子』の価格と目次および概要

『ハリー・ポッターと呪いの子』は静山社から日本語訳が出ています(訳・松岡 佑子)

単行本版の他、お手頃な文庫版も出ており、それぞれの価格は下記の通り(すべて税込)

物語の目次については、下記のように分けられています(文庫版を参考)

<第一部>の構成はこちら。

舞台脚本をどう読むか
第一部
・第一幕
・第二幕

<第二部>の構成はこちら。

第二部
・第三幕
・第四幕
配役
クリエイティブ・プロダクションチーム
原作チームの略歴
家系図
年表

これを見てもわかる通り、これまでの七作品とは違ってシナリオ形式で書かれた作品です。

概要を簡単に述べると、前作までに活躍した主要人物たちの下の世代、つまり主要人物の子どもたちを中心に繰り広げられるタイムスリップもの、と言ったところでしょうか。

本作は『ハリー・ポッター』シリーズの第八作目に当たる作品であり、2016年にロンドンで舞台として上演されました。

日本には2022年の夏に上陸予定です♪

本作は含まれていませんが、第一作から第七作までの全巻セットも販売されていまして、その価格はハードカバー版で税込23,210円、文庫版は税込14,234円!

前作までの物語を一気読みしたい!という方は、ぜひ全巻セットを買っちゃいましょう♪♪

価格もかなりお得ですよ♪♪

『ハリー・ポッター』シリーズ全巻セット(ハードカバー版)の購入はこちら(※本作『ハリー・ポッターと呪いの子』は含みませんのでご注意ください)

『ハリー・ポッター』シリーズ全巻セット(文庫版)の購入はこちら。(※本作『ハリー・ポッターと呪いの子』は含みませんのでご注意ください)

『ハリー・ポッターと呪いの子』の内容

『ハリー・ポッターと呪いの子』の内容について簡単に書きますね。

ハリー・ポッターとドラコ・マルフォイそれぞれの息子が逆転時計を使って過去と現在を往き来し、歴史を改変しようとする物語です。

前作までの内容をご覧になりたい方は、下記からチェック♪

登場人物

『ハリー・ポッターと呪いの子』の登場人物は、以下の2人を主軸として物語が進んでいきます(ミドルネームは省略)

2人とも父親の名のもとに苦しめられますが、その重荷をどう乗り越えていくかにも注目ですね。

・アルバス・ポッター:ハリー・ポッターの次男。スリザリン寮に組分けされる。
・スコーピウス・マルフォイ:ドラコ・マルフォイの一人息子。スリザリン寮生。

もちろん、前作までの主役3人――ハリー・ポッター、ロナルド・ウィーズリー、ハーマイオニー・グレンジャーもちゃんと登場しますよ♪♪

大人になった彼らがどんな言動をとるのか、そこからも目が離せません。

他、本作を語る上で外せない登場人物は下記の通りです。

・セドリック・ディゴリー:「三大魔法学校対抗試合」のホグワーツ代表。
・エイモス・ディゴリー:セドリック・ディゴリーの父親。
・デルフィー・ディゴリー:エイモス・ディゴリーの姪を名乗る女性。

第七作まで読んだ方ならセドリック・ディゴリーがどんな人物かはご存知かと思いますが、本作ではアルバスとスコーピウスが過去に行く理由として描かれています。

デルフィー・ディゴリーは本作で初登場し、物語に大きく関わってくるキーパーソンと言えるでしょう。

『ハリー・ポッター』シリーズを通して出てきたホグワーツの教職員たちも折々で登場しますので、ファンの方にとってはそこも楽しみかも!?

あらすじ

『ハリー・ポッターと呪いの子』のあらすじについて簡潔に書いてみますね。

アルバス・ポッターはハリー・ポッターの次男――父親の名声による重圧に悩む彼は、やがて父親に反発するようになります。

一方、ドラコ・マルフォイの息子スコーピウスもまた父親と折り合いが悪く、自分の出生にまつわる噂によって周囲からの中傷にさらされる日々でした。

互いの境遇に似たようなものを感じ、やがて親友となる2人。

ある出来事をきっかけに過去を変えようと決意したアルバスとスコーピウスは、逆転時計(タイムターナー)を使って過去と現在を往き来するようになります。

しかし、それは周囲の人間の運命をも左右する重大な行動でした。

時を巡る旅路の果てに、やがて彼らが知ることになる衝撃の真実とは――。

『ハリー・ポッターと呪いの子』を読んだ感想

ここからは『ハリー・ポッターと呪いの子』を読んだ感想について書きますね。

まず本作には、大きく分けて二つのテーマがあります。

その一つは、過去の改変。

アルバスとスコーピウスは魔法アイテムの逆転時計を使って過去と現在とを往き来します。

しかし、それが現在、そして自分たちの存在そのものに重大な影響を及ぼすことになろうとは、そのときの彼らはまだ知る由もありません。

「過去を変えたい」――そう考えること自体は、人間なら誰しもあることでしょう。

私も、あります。

なんであんなこと言ってしまったんだろうとか、どうしてあんな態度をとってしまったんだろうとか・・・過去に戻ってやり直せるのならぜひともそうしたいと、何度思ったことか。

もっと大きく言うなら、もしも日本史や世界史を変えることができるのなら、現代のようなギスギスした世の中にはなっていなかったかもしれません。

・・・でも、良い方向にばかり動くとは限らないですよね。

歴史を変えることができたとしても、それによって「今」という時代がもっと悪いことになっているかもしれません。

先のことがどうなるかなんて、誰にもわからないのですから。

たとえ自分の過去をやり直したとしても、自分と関わる周囲の人たちとの思い出も、その人の存在そのものさえも、一歩間違えるとすべて無かったことになってしまうリスクもありますよね。

そう考えると、「過去の改変」というのは非常に危険なことには違いありません。

本作を貫くもう一つのテーマは、父と子の葛藤。

これはハリーとアルバスとの関係でもあるし、ドラコとスコーピウスとの関係でもあります。

特にハリーはヴォルデモートを倒した英雄として名前が知れ渡っていますし、その息子であるアルバスの重圧は計り知れません。

私たちの身近でも、親が有名人だったり偉大な人格者であればあるほど、周囲から向けられる期待やプレッシャーに押し潰されそうになってしまうのはよく聞く話です。

「誰々の子」という目ではなく、「自分」という一人の人間として接してほしいと感じるのは自然なことですよね。

ハリーの場合は自分自身が父親の存在を知らないこともあり、父親としての息子との向き合い方に苦悩する場面がたくさん描かれています。

しかし、いくら自分が父親を知らないとは言え、息子だけでなく周囲に対しても、「それは言っちゃいけないでしょ」と読んでいてハラハラするような言動もありました(^^;

結局ハリーは本編の頃から人としてあまり成長していないのかなというのが私の印象です。

ハリーなりに一生懸命に息子と向き合おうとしているのは伝わってくるのですが、どうも彼は人の心の機微には疎い気がしますね。

・・・なんて、親になったことの無い私にも偉そうなことは言えないのですが(^^;

私が本作で一番感動したのは、何と言ってもドラコ・マルフォイ!

自身の家柄を鼻にかけて何かとハリーたちに突っかかってくる嫌味なヤツだったのに、本作では不器用ながらも家族を愛する人間として描かれています。

彼もまた息子スコーピウスとの向き合い方に苦悩しますが、それはスコーピウスの出生を巡る言われ無き中傷から来るものであり、ドラコも苦労してきたんだなぁと思わせます。

本編時代からの不仲を引きずりつつもハリーたちとも対等に会話するようになり、ハリーに対して本音を語る場面もあって、人間として深みが増したように感じました。

ドラコ、いいヤツになったなぁ・・・少なくともハリーよりはずっと大人ですよ(笑)

全体の感想としては、物語が進む中で本編との関わりも多く、「過去の改変」や「父と子の葛藤」など考えさせられることもあり、私個人としてはそれなりに楽しめました!

ただ、本編ではそこまで翻訳が気にならなかった私も、さすがに今回ばかりはいろいろ気になってしまいましたね。

脚本だからというのもあるかもしれないけれど、会話が会話らしくないというか、どうも不自然な感じが・・・。

贅沢いうと、第七作までが小説だったので本作も小説として書いてほしかったなぁというのが私の正直な気持ちです。

『ハリー・ポッターと呪いの子』の口コミ

Amazonのサイトに『ハリー・ポッターと呪いの子』に関する口コミが載っていましたので、良い口コミと悪い口コミについて私なりにまとめてみました。

詳しい口コミ内容については、Amazonのサイトをご参照ください♪

良い口コミ

まずは良い口コミから。

・シリーズに夢中になった身としては、いつかまた新刊が出るのなら読むと思う。
・舞台脚本なので世界観に入り込めなかったが、内容を楽しむ分には問題ない。
・物語としても面白くて、シリーズを読んでいた頃の興奮を思い出した。
・大人になった登場人物たちに合わせてテーマも合わせていることは評価できる。
・実際の舞台がどうなるかを想像しながら読み進めるのも面白かった。

悪い口コミ

では次に、悪い口コミについて見てみましょう。

・切り口としては良いだろうけど、今までのイメージが壊れてしまって面白くなかった。
・英語を訳しました、という不自然な日本語で、物語の世界に入っていけなかった。
・原作へのリスペクトの無さと内容のしょぼさに幻滅。
・まるでファンによる二次創作のような内容。話にならないほど完成度が低い。
・誤訳や不自然な言い回しが目についた。内容が良いだけに、とても残念。

まとめ

逆転時計で過去と現在を往き来する『ハリー・ポッターと呪いの子』の舞台脚本について書いてきましたが、いかがでしたでしょうか。

本作は『ハリー・ポッター』シリーズの第八作目に当たります。

第七作『ハリー・ポッターと死の秘宝』で完結したかに思われた物語の続編として、2016年にイギリスで舞台劇として初演されました。

口コミを見ていると、まさに「賛否両論」という言葉がしっくり来るほど、良い口コミと悪い口コミとが混在しています。

「面白かった」「楽しく読めた」という意見もあれば、「本編の世界観を台無しにしている」「脚本ということを知っていたら買わなかった」などの意見もありました。

悪い口コミにはやはり翻訳関連のものが目立ちますね・・・本編ではそこまで翻訳が気にならなかった私も、さすがに今回は翻訳に違和感を覚えた箇所がいくつかありますので。

以前からのファンの方々にとっては特に大きく評価が分かれる本作だけど、過去に本編に登場した人物が本作でも出てきますので、一度は読んでみても良いのかなと思います。

過去に行って歴史を改変する――もし本当にタイムスリップができたとしても、それが非常に危険で、愚かな行為であることは言うまでもありません。

私自身、「過去に戻れたら・・・」と後悔していることもたくさんあるけれど、それで現状が良くなるかと言えばそうとは限らないし、下手をすればもっと悪い「今」になっているかもしれないのです。

まして、いま自分の隣にいるはずの人物が、過去を変えたことによって存在しなくなってしまったとしたら・・・。

その罪悪感を背負って生きる覚悟があるのならそれも良いかもしれませんが、少なくとも私にはそれだけの覚悟も強さもありません。

今の自分があるのは過去の自分があるからに他ならないですし、過去の失敗や過ちがあるからこそ、同じことを二度と繰り返さないように生きることができるのではないでしょうか。

そう考えると、本作はとても深く考えさせられる物語と言えそうですね。

また、本作は「父と子の葛藤」についても大きなテーマとして貫かれており、うまく関係が築けていない息子と向き合おうとする2人の人物の姿が印象的です。

特にハリーは自分が父親を知らないということもあり、次男アルバスに対して心無い言葉を浴びせてしまう場面も・・・。

しかし、人は失敗を繰り返しながら成長するものですし、すべてがカンペキな人間なんていません。

きっとハリー自身、一人の父親として、夫として、また一人の人間として「どう生きるか」を懸命に模索しているところなのでしょう。

だからこそ、時には周囲が驚くような言葉を息子にかけてしまったりもするのでしょうし、自分なりに子育てと向き合う彼の姿を見ていると、素直に応援したくなりました(^^)

本作は日本でも2022年の夏に舞台を上演予定です。

興味のある方は舞台観劇とともに、ぜひ本作も手にとってみてくださいね(^^)

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以上、読書ミュージアム館長の秋月春花がお送りしました♪

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