『フェルマーの最終定理』の証明と数学者たちとの熱き闘い

イギリス文学

読書ミュージアム館長の秋月春花です♪

本日は、数学界最大の超難問として知られる『フェルマーの最終定理』についてレビューしていきます。

サイモン・シン『フェルマーの最終定理』(新潮社)

『フェルマーの最終定理』が証明されるまでの数々のドラマと数学者たちとの苦闘について、実際に読んだ感想などをありのままに綴っていきたいと思います♪

販売業者大日本印刷株式会社
運営責任者田宮 幸彦
所在地〒141-8001 東京都品川区西五反田3-5-20
電話番号0120-29-1815

 

『フェルマーの最終定理』の値段と構成および概要

『フェルマーの最終定理』は新潮社より日本語訳が出ています(訳・青木 薫)

金額は税込で下記の通り(すべて税込)

また、本の構成は下記の通りです。


はじめに
第Ⅰ章 「ここで終わりにしたいと思います」
第Ⅱ章 謎をかける人
第Ⅲ章 数学の恥
第Ⅳ章 抽象のなかへ
第Ⅴ章 背理法
第Ⅵ章 秘密の計算
第Ⅶ章 小さな問題点
第Ⅷ章 数学の大統一
補遺
訳者あとがき
文庫版に寄せて

このように八つの章に分けられており、各章の中でさらに細かく項目が立てられています。

「フェルマーの最終定理」を完全証明したアンドリュー・ワイルズの人生を軸に、「フェルマーの最終定理」に果敢に挑み敗れ去っていった数学者たちの熱き闘いを描くノンフィクションです。

『フェルマーの最終定理』の作者は、サイモン・シン

『フェルマーの最終定理』の作者は、1964年生まれのサイモン・シンです。

イギリス南西部サマーセット州にて生まれ、インペリアル・カレッジ・ロンドンで学を修めた後、ケンブリッジ大学大学院で素粒子物理学の博士号を取得しています。

テレビ局BBCに就職した後は、『フェルマーの最終定理――ホライズンシリーズ』というドキュメンタリー番組で各種の賞を受賞しています。

この時の取材を元に書き下ろしたのが本作『フェルマーの最終定理』で、各界から高い評価を受けてベストセラーになりました。

本作の他にも、『暗号解読』、『ビックバン宇宙論』(文庫版タイトルは『宇宙創成』)などが有名で、一般向け科学書として高評価を得ています。

現在もサイエンスジャーナリストおよびプロデューサーやラジオ番組のパーソナリティとして活躍しています。

『フェルマーの最終定理』の内容

『フェルマーの最終定理』の内容を簡単にまとめると、以下のようになります。

1995年にアンドリュー・ワイルズによって完全証明された「フェルマーの最終定理」――この問題の証明に人生をかけたワイルズの波乱のドラマ、そして多くの数学者たちの苦闘を描いています。

登場する数学者

ここで、『フェルマーの最終定理』に登場する数学者たちについて簡単に説明します。

・アンドリュー・ワイルズ:1953年イギリス生まれの数学者。1995年に「フェルマーの最終定理」を完全証明する。
・ピエール・ド・フェルマー:17世紀フランスの数学者。「フェルマーの最終定理」と呼ばれることになる命題を残した張本人で、後世の数学者たちを悩ませる。
・レオンハルト・オイラー:18世紀スイスの数学者。数々の業績を残し、後世の数学界に多大な影響を与えた。
・谷山豊、志村五郎:ともに日本の数学者。「谷山=志村予想」によって「フェルマーの最終定理」の解決に大きく貢献することになる。

他にもたくさんの数学者が実名で登場します。

有名な数学者ばかりなので、数学のことはわからなくても名前くらいなら耳にしたことがあるという方も多いのではないでしょうか。

あらすじ

『フェルマーの最終定理』のあらすじについて簡潔に書いてみます。

ネタバレが嫌な方は読み飛ばしてくださいね。

物語は、1993年6月23日にケンブリッジでワイルズが講演するところから始まります。

講演内容は、3世紀にもわたって数学者たちの頭を悩ませてきた「フェルマーの最終定理」がついに解決を見たというものでした。

幸福に浸るワイルズでしたが、その時間は長くは続きませんでした――。

第Ⅱ章では、「フェルマーの最終定理」を世に残した張本人であるピエール・ド・フェルマーについて語られます。

そもそも「フェルマーの最終定理」とは、一体どんなものなのでしょうか。

3以上の自然数nについて \( x^n + y^n = z^n \) となる自然数の組(x, y, z)は存在しない。

これが「フェルマーの最終定理」と呼ばれるもので、後世の数学者たちがその命をかけて証明に取り組むことになります。

第Ⅲ章では、レオンハルト・オイラーが登場します。

彼は「フェルマーの最終定理」の証明に向けて最初の大きな一歩を踏み出した人物であり、その後の数学界にとっても非常に大きな影響を与えることになります。

オイラーは、n=3のときは解がないことを証明しますが、証明すべき式は無数に残ったままでした。

その後、ソフィー・ジェルマンという女性数学者の登場により、「フェルマーの最終定理」の証明に大きな革命を起こします。

彼女の研究をもとに、ディリクレ、ルジャンドルによってn=5の場合に解のないことが証明されました。

また、n=7の場合も、ジェルマンの研究を改良したラメによって証明されます。

ソフィー・ジェルマンが大きな一歩を踏み出したことで、「フェルマーの最終定理」には懸賞金がかけられることになりました。

数多くの数学者たちが証明に挑戦するも、ことごとく失敗していきます。

そんな中で、エルンスト・クンマーは当時の数学のテクニックでは「フェルマーの最終定理」を完全に証明することはできないことを示しました。

それまでの数学上の失敗を片っ端から学んできたワイルズは、20世紀の数学をもって「フェルマーの最終定理」に立ち向かうことを決意します。

大学院生になったワイルズは、教授のジョン・コーツとともに研究を始めたことで「フェルマーの最終定理」への道を着実に進んでいきます。

その途上、二人の日本人数学者によって発表されていた「谷山=志村予想」が非常に重要な役目を果たすことになります。

「谷山=志村予想」が証明できれば「フェルマーの最終定理」も自動的に証明されるという主張が、ゲルハルト・フライによってなされたのです。

以後、ワイルズは「フェルマーの最終定理」と直接関係のない研究からは一切手を引き、「谷山=志村予想」の攻略に没頭します。

その仕事内容については親しい数学者にさえも秘密にするほどでした。

徹底した研究の成果は1993年6月23日、ケンブリッジでの歴史的な講演へとつながっていきます。

しかし、ワイルズの証明には致命的な欠陥があったことが発覚しました。

なぜ証明に失敗したのか・・・原因を突き止めるため、ワイルズは再び研究に没頭します。

その中で突如として訪れた閃きの瞬間――ワイルズはついに「フェルマーの最終定理」の完璧な証明を成し遂げたのでした。

『フェルマーの最終定理』を読んだ感想

『フェルマーの最終定理』を読んでの感想を私なりに書きます。

最初に断っておくと、私は数学が非常にニガテです・・・数学のテストなんて5割も取れればマシなほうでした(笑)

そんな数学ニガテな超文系人間の私が、なぜこの本を読もうと思ったのか。

学問としての数学はニガテだけど、読み物としての数学は好きだからです。

どんな学問にも深い歴史があって、特に数学はその歴史の中でも謎に満ちた世界ということもあり、私の興味を引くには十分な面白さがあります。

だからといって数学が得意になることは残念ながら一切ありませんでしたが・・・(笑)

それはさておき、本作『フェルマーの最終定理』では様々な数学者たちが登場するにあたり、ところどころで数学の専門用語や数式なども出てきます。

本作はノンフィクション作品であって数学の解説書ではないので、そうした専門用語や数式が出てきてもきちんと説明されるわけではありません。

数学者たちの歴史や当時を取り巻く社会状況などについての記述は興味を持って読むことができたものの、難解な専門用語や数式が出てくることも考えれば、全体的には難易度の高い読み物であると言えるでしょう。

『フェルマーの最終定理』の口コミ

Amazonに『フェルマーの最終定理』に関する口コミが載っていましたので、良い口コミと悪い口コミについて私なりにまとめてみました。

詳しい内容については、Amazonのサイトをご参照ください♪

良い口コミ

まずは良い口コミから。

・数式はわからずともストーリーに引き込まれる。数学嫌いこそ読むべき本。
・証明の歴史や意義が、数学の素人にも分かるようにうまくまとめられている。
・中学生の時にこの本に出会っていたら、もっと数学を好きになっていたかも。
・証明を追い求めた300年にわたる人々のストーリーが小説みたいで面白かった。
・数学が苦手な人間でも、この本を通して数学の完全性、美しさに触れられる。
・日本人も証明に重要な役割を果たしていて、同じ日本人として誇りに思う。

悪い口コミ

では次に、悪い口コミについて見てみましょう。

・難しいし、数学と世界史に興味がないのですぐに挫折した。
・証明に挑戦した数学者を何人も取り上げる、という構成が良くない。
・この証明の凄さが一般人には理解できず、広く浅くという感じで入り込めない。
・数学者の紹介ばかりでつまらない。途中で飽きてしまった。
・中途半端な気持ちと知識で読むのはやめたほうがいい。
・数学的な詳しい内容を期待していた者にとっては、やや期待外れ。

まとめ

『フェルマーの最終定理』について書いてきましたが、いかがでしたでしょうか。

「フェルマーの最終定理」は、その証明のために実にたくさんの数学者たちが挑んでは敗れ去っていき、数々のドラマを生み出しました。

数学は人によって好き嫌いがはっきり分かれる学問なので、数学に対してニガテ意識のある方にとっては少々とっつきづらい作品かもしれません。

口コミを見ていても、「難しくて理解できない」、「数学が分からないので証明の凄さも分からない」といった内容が散見されます。

私自身も数学は非常にニガテで、本作を読んでいる中で出会った専門用語や数式は実のところほとんど理解できていません。

「素因数分解ってなんだっけ??」というレベルです(笑)

また、本作はあくまで証明に挑戦した数学者たちのドキュメンタリーという要素が強く、「フェルマーの最終定理」の証明の中身が書かれているわけではありませんので、そこを期待されている方にとっては物足りない感があるかもしれません。

しかしながら、数学者一人ひとりについては実によく調べられており、読み物としては非常に素晴らしいことには違いありません。

数学という学問に人生のすべてをかけた人びとの挑戦があるからこそ、現代の様々な科学の発展があるのですね。

そう考えたら、数学という学問は実に奥深くて、美しい世界なんだと思います。

数学はニガテという方もそうでない方も、本作を読むことでまた違った目線で数学の世界を知ることができるのではないでしょうか。

興味のある方は、ぜひ手に取ってみてください(^^)

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以上、読書ミュージアム館長の秋月春花がお送りしました♪

 

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