「ノートルダムの鐘」の原作は暗い!?小説『ノートル=ダム・ド・パリ』

フランス文学

読書ミュージアム館長の秋月春花です♪

本日は、「ノートルダムの鐘」の原作として知られる小説『ノートル=ダム・ド・パリ』についてレビューしていきます。

ユゴー『ノートル=ダム・ド・パリ<上>』(岩波文庫)

ユゴー『ノートル=ダム・ド・パリ<下>』(岩波文庫)

『ノートル=ダム・ド・パリ』がどういった作品なのか、実際に読んだ感想など、ありのままに綴っていきますね♪

販売業者大日本印刷株式会社
運営責任者田宮 幸彦
所在地〒141-8001 東京都品川区西五反田3-5-20
電話番号0120-29-1815

 

「ノートルダムの鐘」の原作『ノートル=ダム・ド・パリ』の値段と構成および概要

「ノートルダムの鐘」はディズニーによるアニメ映画化やミュージカル化によってその名を世に知らしめた作品です。

その原作である『ノートル=ダム・ド・パリ』はいくつかの出版社から日本語訳が出ており、今回は私が実際に読んだ岩波文庫版(訳・辻昶、松下和則)について書きますね。

値段はすべて税込で下記の通り。

ユゴー『ノートル=ダム・ド・パリ<上>』(岩波文庫)

ユゴー『ノートル=ダム・ド・パリ<下>』(岩波文庫)

物語の構成については大きく分けて第一編から第十一編まであり、その中でさらに細かく章立てされています。

上巻が序文および第一編から第六編まで、下巻が第七編から第十一編までと訳者(辻昶)による解説という構成になっています。

本作の概要を簡単に述べると、身分も立場も異なる3人の男たちがひとりの美しい娘に恋い焦がれ、運命に翻弄されていく物語といったところでしょうか。

ちなみに、セット販売もされていまして、その値段は文庫版、電子書籍版ともに税込2,497円!

残念ながらまとめて購入しても特に割引にはならないのですが、一冊ずつ買うのが面倒だという方はぜひセットで買っちゃいましょう♪♪

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「ノートルダムの鐘」の原作『ノートル=ダム・ド・パリ』の作者はヴィクトル・ユーゴー

『ノートル=ダム・ド・パリ』の作者は、19世紀前半のフランス・ロマン主義を代表する文豪、ヴィクトル・ユーゴーです。

※「ユゴー」との表記もあり、今回の記事では岩波文庫の表記に倣って以下「ユゴー」で統一しますね。

ちなみに「ノートルダムの鐘」のアニメ映画には、ユゴーの名にちなんだキャラクターも登場しているみたいですよ(^^)

詳しいユゴーのプロフィールについては、下記の記事をご覧ください♪♪

「ノートルダムの鐘」の原作『ノートル=ダム・ド・パリ』の内容

『ノートル=ダム・ド・パリ』の内容については、3人の男と1人の娘との愛憎劇を描いたもので、ノートルダム大聖堂を舞台に繰り広げられます。

教会が絶対的な権力を保持していた15世紀のパリ――魔女狩りの名のもとに弾圧や排除が平然と行われていた時代を背景としています。

※当ブログは読書を中心としたブログのため、申し訳ありませんがアニメおよびミュージカル版「ノートルダムの鐘」についての詳述は省略させていただきますね。

登場人物

ここで、『ノートル=ダム・ド・パリ』の登場人物について簡単に説明しておきましょう。

・エスメラルダ:ジプシーの美しい踊り子。本作のヒロイン。
・カジモド:ノートルダム大聖堂の鐘番の男。外見が非常に醜い上に耳も不自由。
・クロード・フロロ:天才肌の聖職者で、カジモドの育ての親。
・フェビュス・ド・シャトーペール:王室親衛隊隊長。ハンサムだが女癖が悪い。

他にも、下記のような人物が出てきます。

・クロパン・トルイユフー:悪党の巣窟と言われる「奇跡御殿」の主。
・ピエール・グランゴワール:詩人・哲学者を自称する男。エスメラルダとは仮の夫婦。
・ギュデール:ロラン塔に住む女。過去に幼い娘をさらわれ、ジプシーを激しく憎む。

もちろん、他にもたくさん出てきます。

あらすじ

『ノートル=ダム・ド・パリ』のあらすじについて簡潔に書いてみますね。

ジプシーの踊り子であるエスメラルダは、その美貌で人びとを魅了していました。

そしてその美しさは3人の男たち――大聖堂の鐘番カジモド、聖職者フロロ、王室親衛隊隊長フェビュスの運命をも翻弄していきます。

純真な想いでエスメラルダを愛するカジモド、愛に苦悩し彼女を憎悪するフロロ、婚約者がありながら彼女をも我が物にしようとするフェビュス。

それぞれの想いが入り乱れる中、ついにエスメラルダは魔女として処刑を言い渡されることに・・・。

大聖堂のもとに繰り広げられる愛憎劇――果たして、その結末とは?

「ノートルダムの鐘」の原作『ノートル=ダム・ド・パリ』を読んだ感想

ここからは『ノートル=ダム・ド・パリ』を読んだ感想について書きますね。

正直に言って、話がとっても暗いし重いし疲れます(苦笑)

心洗われるような描写が一つもないのには衝撃でした・・・あるかもしれないけど、それに気付かないくらい全体的に重苦しい空気をまとって物語が進んでいきます。

あと、建築やパリの景観などの話だけで数十ページにもわたって説明されているので、その部分に関しては退屈してしまいそうでした(^^;

とはいえ、本作はノートルダム大聖堂という壮大な建築物のもとで話が進んでいくので、建築や景観に関する話があってこそ物語も引き立つのかなとも感じ、根気で読みました(笑)

本作における見どころは、やはり3人の男たちがそれぞれのやり方でエスメラルダを愛していくところでしょうか。

カジモドは外見が醜い上に耳も不自由だけどエスメラルダに対する愛は純粋であり、彼がエスメラルダを守るために奔走する姿は「頑張れ!」と応援したくなりました。

フロロは聖職者でありながらエスメラルダに恋をし彼を苦悩させることになるのですが、エスメラルダを恋する他の男たちの存在に嫉妬し、やがて憎しみの炎に包まれていきます。

嫉妬、憎しみといった人間の負の感情をこれでもかとさらけ出している彼の姿を見て、様々なことを考えさせられました。

恋心がやがて憎しみへと変わり、果てはエスメラルダを殺そうとまでするフロロの心理は、常人には理解しがたいものがあります(^^;

しかし、行き過ぎた想いが事件沙汰になってしまうのは、現代に生きる私たちの身の回りでも残念ながら起こっていますよね。

その代表例としては、ストーカー行為が挙げられるでしょうか。

「愛しているのに手に入らない」もどかしさが「手に入らないなら、いっそ苦しめてやる!」という気持ちに変わってしまうなんて、恐ろしいとしか言いようがないけれど・・・。

「愛は人を変えてしまう」とはよく耳にする言葉ですが、悪いほうに変わってしまうと本当に誰も幸せにならないですし、ただただ悲しいです。

フロロは自らの聖職者という権力を最大限に利用してまさに「ストーカー化」していくわけですが、そこに至るまでに一体どれだけ悩み、苦しんだのでしょうか。

彼の心の葛藤を思うと、悪役といえども同情の気持ちがわいてきます。

嫉妬の渦に呑み込まれた人間がどうなるか――フロロはそれを自分の身をもって示してくれているような気がしました。

もし聖職者でなかったとしても、彼はやはり同じような行動をとったのかも・・・。

そう考えると、私にはフロロがとても哀れな人間に思えました。

フェビュスに関しては、もう敢えて何かを言う必要はないですね(苦笑)

婚約者がいるにもかかわらずエスメラルダを手に入れようとする――そんなサイテーな男です(^^;

彼は一見すると好青年ですし、振る舞いも紳士です。

そんなフェビュスに窮地を救ってもらったとなると、あっという間に恋に落ちてしまうのも無理はないのかもしれません。

それで幸せになれるかというと・・・やはり素直に祝福はできないし、人の不幸の上に自分の幸せを築いても、いつかは崩れ去るものだと私は思っています。

しかし不思議ですね・・・いつの時代でも、どこの世界にも、何人もの女性を泣かせる男というのはなぜか必ず存在しています。

人としての倫理とか正しい生き方とか、何が正解かなんてきっと誰にもわからないけれど、自分の欲求や幸せのために平気で人を傷つけるような人間にだけはなりたくないなと思いました。

ちなみに・・・このフェビュス、アニメやミュージカルの「ノートルダムの鐘」では名前も違うし、婚約者もいないという設定になっているようです。

子どもたちも観るからというところに配慮したのだと思いますが、もはや本作とはまったくの別人と言っていいでしょう。

まぁ、それはそれとして一つの作品として楽しむのが良いのかもしれません。

「ノートルダムの鐘」の原作『ノートル=ダム・ド・パリ』の口コミ

本作の販売サイトに『ノートル=ダム・ド・パリ』に関する口コミが載っていましたので、良い口コミと悪い口コミについて私なりにまとめてみました。

詳しい口コミ内容については、こちらの販売サイトをご参照ください♪

※アニメ版およびミュージカル版「ノートルダムの鐘」の口コミについては触れていませんのでご注意ください。

良い口コミ

まずは良い口コミから。

・建築や景観についての話を延々と語っていることに脱帽した。
・登場人物が生き生きしていて、それぞれに違った感情表現をするのが魅力的。
・こんなにも時間を忘れてページをめくる手が止まらなかった本に出会えたことが幸せ。
・下巻は怒濤の人間ドラマが展開されており、一気に読みきってしまった。
・映画と原作との内容の違いに驚くばかり。なんとか読み進めることができた。

悪い口コミ

では次に、悪い口コミについて見てみましょう。

・面白いと感じるのは序盤だけで、ストーリーは普通だと思う。
・登場人物の誰も好きになれない。
・ノートルダム寺院とパリの景観の説明が観光ガイドみたいに長すぎて辛い。
・登場人物はみんな考えが足りないし、話としても誰にも救いが無い。
・うんちくの長さが個人的にはしんどかった。

まとめ

本日は、「ノートルダムの鐘」の原作として知られる小説『ノートル=ダム・ド・パリ』について書いてきましたが、いかがでしたでしょうか。

「ノートルダムの鐘」のアニメやミュージカルをご覧になったことのある方はさぞかし驚かれたことと思います。

・・・・・・暗い・・・とにかく暗いし、重いですよね(^^;

作品全体に鬱々とした空気がどんよりと漂っている感じ。

実際、口コミの中にも「アニメと原作が全然違う」といった意見がありました。

では、アニメ版やミュージカル版は一体どんな内容なのか――当ブログは読書ブログなので詳しくは触れませんが、登場人物のキャラ設定や結末が大きく違っているようです。

さて、他の口コミを眺めてみると、やはり目立つのは「うんちくが長い」「景観や建築の話が多すぎる」といった言葉でしょうか。

これは確かにその通りで、一見すると話にはまったく関係ないような話が章まるごと割いて延々と続くのは、もはやユゴーの得意技?と言ってもいいかもしれません。

私もユゴーのこの手法には随分と手を焼いたけれども、これこそがユゴー文学の真髄で、これがあるからこそ物語がより引き立ち、登場人物たちが生きてくるのだと思っています。

まぁ、読んでいるとだんだんめんどくさくなってくるのは確かなんですけどね(笑)

上巻では建築の記述に対する口コミが目立つ一方で、「下巻は面白かった」「上巻に比べると下巻はさくさく読める」という言葉もありました。

確かに下巻は息もつかせぬ展開が多く、私もあっという間に読みきってしまいました!

エスメラルダと3人の男たちの人間関係が入り乱れ、途中の展開に驚き、あまりにも衝撃のラストに、読み終わってしばらくは言葉が出なかったです。

本作には「愛」と「憎しみ」、「醜さ」と「美しさ」といった対比がたくさん出てきます。

どれも人の数だけ答えのある言葉であり、一言で説明することはできません。

「醜さ」と「美しさ」については、たとえば見た目を気にしてあれこれ言う人もいるけれど、外見の美しさと心の美しさは必ずしも一致しているとは限りません。

カジモドは外見はとても醜いけれどエスメラルダに対しては純愛だし、フェビュスは外見こそ美しい好青年だけれど平気で婚約者を裏切るような男です。

フロロは愛と憎しみの狭間で苦しみ、美しい心で神に仕えるはずの聖職者が醜い本性をさらけ出していきます。

そしてまた私たちも、日々の生活の中で常に揺れ動く自分自身と闘っています。

どんなに見た目が美しい人でも、平気で他者を見下したり虐げたりするならば、その人の心は醜いですよね。

このことからも、「愛」と「憎しみ」、「醜さ」と「美しさ」は表裏一体の関係と言えるのではないでしょうか。

人は誰しも、完璧な存在ではありません。

本作の登場人物が完璧な人間ばかりではないのと同じように。

その意味では本作の登場人物は生身の人間の姿そのものが描かれていると言えますし、だからこそより胸に迫ってくるものがあるのでしょう。

そんな作品を書いたユゴーは、さすが大文豪と言われるだけのことはありますね。

人の心に訴えかける名作『ノートル=ダム・ド・パリ』、ぜひ一度手にとってみてください(^^)

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以上、読書ミュージアム館長の秋月春花がお送りしました♪

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