自分で考え、行動するためのヒント――永田和宏の本『知の体力』

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読書ミュージアム館長の秋月春花です♪

本日は、自分で考え行動していくためのヒントをくれる永田和宏の本『知の体力』についてレビューしていきます。

永田和宏『知の体力』(新潮社)

『知の体力』がどういった内容なのか、実際に読んだ感想など、ありのままに綴っていきますね♪

販売業者アマゾンジャパン合同会社
運営責任者ジャスパー・チャン
所在地〒153-0064 東京都目黒区下目黒1-8-1
電話番号0120-899-543

 

永田和宏の『知の体力』の価格と目次および概要

永田和宏の『知の体力』は新潮社より出版されており、価格は下記の通りです(すべて税込)

本の目次については、下記の通り。

Ⅰ部 知の体力とは何か
Ⅱ部 自分の可能性を自分で摘み取らない
Ⅲ部 思考の足場をどう作るか

各部ごとに5~7つに分けて章立てされており、章の中でさらに細かく項目分けされています。

概要について簡単に述べると、自分で思考し行動していくための「知の体力」を若い人にもっと持ってほしいとの想いから書かれた一冊であると言えるでしょう。

『知の体力』の著者は永田和宏(ながたかずひろ)

『知の体力』の著者は、1947年滋賀県生まれの細胞生物学者、永田和宏(ながたかずひろ)。

敬称は略させていただきますね。

細胞内タンパク質の品質管理を研究しており、1986年にはコラーゲン生成に特異的な機能を持つ熱ショックタンパク「HSP47」を発見したことで有名。

京都大学胸部疾患研究所(現:ウイルス・再生医科学研究所)教授になってからも数々の発見をし、科学界に大きな貢献をされています。

2010年に京都大学名誉教授となり、京都産業大学総合生命科学部教授・学部長を経て2020年に京都産業大学名誉教授となりました。

科学における実績もさることながら歌人としても多方面で活躍されており、歌集が数多く出版されているとともに、数々の賞も受賞されています。

永田和宏の『知の体力』の内容

では、そんな永田和宏の『知の体力』とは一体どのような内容の本なのでしょうか。

章ごとに簡単にまとめてみました。

Ⅰ部 知の体力とは何か

本作のタイトルにもなっている「知の体力」とはそもそも何か。

答えの有無が思考にどう影響を与えるか、質問の重要性、読書の必要性など、6つの章に分けて解説しています。

学校の授業で教えられることの前提として、問題には必ず答えがあり、その答えは必ず一つでなければならないという思い込みがあります。

それに対して著者は言います、その状態のまま社会に出ることは実はとても危険なことであると。

何のために学び、何のために「考える」のか。

本作の導入部分ともいえるⅠ部では、そこに鋭く切り込んだ内容が書かれていると言えるでしょう。

Ⅱ部 自分の可能性を自分で摘み取らない

自分の可能性を開くも閉ざすも自分次第。

落ちこぼれ体験こそが大切であること、多様性の価値、大学教育の在り方など、7つの章に分けて解説しています。

教育改革が叫ばれる昨今、大学も決して例外ではなく改革の波に呑まれようとしています。

そんな中にあって大学に「質の保証」を求める保護者が増えたこと、それによって大学が小学校化しつつある現実に、著者は危機感を抱いているとのこと。

また、2014年当時の安倍首相の演説にも言及し、大学が「社会(イコール企業)のニーズに合った人材を輩出するための職業教育機関」として再編されることにも警鐘を鳴らします。

大学とは本来学問探究の場であり、そこに「質の保証」や保護者の存在は必要ない――そんな著者の心の叫びが綴られたⅡ部は、大学教育の在り方について考えさせられる内容であると言えるでしょう

Ⅲ部 思考の足場をどう作るか

思考とはどこから生まれるのか、どうやって作り出すのか。

「二足のわらじ」で物事を行うことの意味、インターネットの普及による功罪、相手の話をひたすら聞き続けることなど、5つの章に分けて解説しています。

インターネットが普及したことで、いつでも誰でもどこにいても、いとも簡単に情報が手に入るようになりました。

この事実に対し、これまでの時間と手間を考えると「駄目」と言う自信はないけれど、かといってこのままで良いのだろうかという気持ちもあると著者は言います。

あまりにも簡単に「知」に触れることができるということは、つまり「知への尊敬」の念が薄まることであり、そのことに危機感を抱いている、と。

また、Ⅲ部では自分を輝かせるには他者の存在が必要不可欠であることも述べられており、著者の奥さまである河野裕子(故人)とのエピソードも綴られています。

永田和宏の『知の体力』を読んだ感想

ここからは、永田和宏の『知の体力』を読んだ感想について書きますね。

それほど時間をかけずに読むことができるのに内容は考えさせられることばかりで、とても勉強になる本でした。

全体的に共感できることも多かったのですが、それを全部書くとなるとキリがないので、ここではⅡ部で語られている大学教育の在り方について書くにとどめますね。

現代の日本においては大学にも相応の「質」が求められるようになった中で、大学の小学校化には反対であると著者は述べています。

大学の小学校化とはどういうことかというと、「質の保証」のために大学側が保護者と個別面談をしたり、学生がおちこぼれることが無いようにしっかり面倒を見ますよ、ということだそう。

今はこういう大学がものすごく増えているそうですね。

私も本作を読むまで知らなかったのですが、大学で保護者面談!?と思わず声に出してしまうほど驚きました(^^;

でもそれって学生自身から出た要望ではなくて、学生の保護者からの要望ということがほとんどらしいです。

大学を選ぶ際にも、大学がいかに学生の面倒を見てくれるか――そこに重点を置く保護者が増えてきているというんですね。

こうなってくると、大学を決めるのも子どもの意思ではなくほぼ保護者の意思・・・これでは、自分で考える力を持たない学生が増えてしまうわけですよね(^^;

ここで私が思い出したのは、かつて世間を騒がせた「モンスターペアレント」という言葉でした。

モンスターペアレントとまではいかなくとも、子どもの学校生活に必要以上に口出しをする保護者の姿を見かけることは実際多くなってきたように思います。

教育現場における事件やニュースが後を絶たない中、「教育の質」が問われるようになったことは自然の流れかと思いますし、私も理解できます。

だからと言って大学教育の場にまでそれが必要かどうかと言われると・・・。

大学とは学問探究の場であるとともに己と向き合いながら人生を深めていく場でもあると思うので、そこに保護者が変に関わってくるとなると学生の芽を摘んでしまうことにもなりかねないですよね。

子どものためと言いながら、保護者が口出しすることで子どもの「考える力」をどんどん奪ってしまっている・・・一部の保護者がそのことに気付いていないのが恐ろしいところです(^^;

もちろん大学側も大学側で懸命に努力されているのは理解できますし、私は教育者ではないのでこういった取り組みの是非についてここで論じるつもりはありません。

大学の数が必要以上に増えすぎてしまった結果、大学間の競争も必然的に激しくなり、学生獲得のためにはあの手この手で動かざるを得ないのかもしれませんね・・・。

そう思うと、大学そのものの在り方を今一度考え直すべきときが来ているように感じました。

永田和宏の『知の体力』の口コミ

Amazonのサイトに永田和宏の『知の体力』に関する口コミが載っていましたので、良い口コミと悪い口コミについて私なりにまとめてみました。

詳しい口コミ内容については、Amazonのサイトをご参照ください♪

良い口コミ

まずは良い口コミから。

・「なぜ勉強をするのか」に対する一つの答えが本書に書かれていてとても深い。
・知的なものに対して関心のある方にはオススメ。優れて魅力的な本。
・本書に書かれていること全部ではないが、共感できる点も多かった。
・後半になるにつれて著者の想いが深まり、社会人にとっても大変勉強になる。
・さらりと読める本だけれども内容は濃く、奥が深い。

悪い口コミ

では次に、悪い口コミについて見てみましょう。

・面白いエピソードもあるにはあるが、どこかで聞いたような話が多いのが残念。
・内容が薄っぺら。
・テクノロジーとどう向き合っていくかという点については、やや歯切れが悪い。

まとめ

自分で考え行動していくためのヒントをくれる永田和宏の本『知の体力』について書いてきましたが、いかがでしたでしょうか。

口コミを眺めていると、一人ひとりの書く文章量がとにかく多いのが印象的でした。

本作を読むよりも、口コミを読むほうが大変だったと感じるほど(笑)

でもそれだけ本作が深く考えさせられる内容であるということなんでしょうね。

私自身、特にⅡ部の大学教育の在り方については驚きの連続で、教育改革が叫ばれる今だからこそ大学教育について今一度考え直すべきときが来ていると感じました。

大学は学問探究の場であり、本当に真剣に学びたい方が行くべきところであると思っています。

もちろん、やりたいことを見つけるため、自分探しのために大学に行くという方もいらっしゃるでしょうし、そういった考えは私も否定しません。

問題は、単に社会人になることから逃げるため、あるいは恋人を作りたいがため、アルバイトしてお金稼いでたくさん遊んで思い出を作りたいため・・・そういう目的で大学に行くこと。

それが悪いとは言いません、大学時代にしかできないことだって確かにたくさんありますし、そこから得られるものだってありますから。

でも、大学に入っても何の目的もなく、勉強する気もまったく無く、ただ毎日が楽しければそれでいいという考えの学生が存在することも事実で、実にもったいないなぁと個人的には思います。

そんな方に言いたい――何のために大学に行くのか、何のために知性を磨くのか。

そんなこといちいち考えてられない、面倒だと思う方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、自分の心と向き合い、「何のため」を深めていくことで見えてくるものもあると思うんですよね。

一見無駄なことのように思えるけど、自分と向き合うために悩み費やしたその時間は、人生の中で必ず生きてきます。

大学に限らず、人生の節目において、自分の頭で思考し、行動すべき場面に突き当たることは誰にでもあるでしょう。

そんな時に「何のため」を自分なりに考え、深めていく――これこそが、本作のテーマである「知」を鍛えることにもつながっていくのではないかと思いました。

本作は今現在大学生である方はもちろん、社会人として奮闘されている方にとっても示唆に富んだものになっています。

興味のある方は、ぜひ一度読んでみてくださいね(^^)

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以上、読書ミュージアム館長の秋月春花がお送りしました♪

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