小説『プラハの春』が語るチェコスロバキアの愛の物語

日本文学

読書ミュージアム館長の秋月春花です♪

本日は、チェコスロバキアを舞台にした恋愛小説『プラハの春』についてレビューしていきます。

春江一也『プラハの春(上)』(集英社文庫)
春江一也『プラハの春(下)』(集英社文庫)

『プラハの春』がどんな作品なのか、実際に読んだ感想など、ありのままに綴っていきますね♪

販売業者大日本印刷株式会社
運営責任者田宮 幸彦
所在地〒141-8001 東京都品川区西五反田3-5-20
電話番号0120-29-1815

 

『プラハの春』の値段と構成および概要

『プラハの春』は集英社より出版されており、お値段は下記の通り(すべて税込)

春江一也『プラハの春(上)』(集英社文庫)946円
春江一也『プラハの春(下)』(集英社文庫)979円

物語については、下記の10章で構成されています。

プロローグ
第1章 ブルタバの流れ
第2章 反体制活動家
第3章 暗い影
第4章 悲愁
第5章 プラハの春
第6章 『ミレナとワインを』
第7章 ワルシャワ書簡
第8章 その前夜
第9章 軍事介入
第10章 祈り
エピローグ
解説 吉野 仁

この中でさらに細かく項目立てされています。

概要を簡単に述べるとするなら、東西対立の真っ只中にあって互いの立場の違いを意識させられつつも、命がけで愛し合う男女を描いた物語といったところでしょうか。

ちなみに、本作には続編も出ており、それぞれ『ベルリンの秋』、『ウィーンの冬』というタイトルで出版されています。

気になる方はぜひ続編もチェックしてみてくださいね♪♪

『ベルリンの秋』の購入はこちら。

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『プラハの春』の作家は春江一也(はるえかずや)

『プラハの春』の作家は、1936年生まれの春江一也(はるえかずや)。

敬称は略させていただきますね。

1962年に外務省に入省以来、在チェコスロバキア大使館、在東ドイツ大使館、在ベルリン総領事館、在ジンバブエ大使館、在ダバオ総領事館等での勤務を経て2000年に定年退官し、2014年に永眠されました。

以上の経歴からも分かるように、外交官としての生涯を貫き、世界平和に尽力した人物であると言えるでしょう。

また、氏は在チェコスロバキア大使館に在勤中の1968年に「プラハの春」に遭遇し、ソ連軍侵攻の第一報を打電した人物でもあります。

この当時の体験をもとにして書かれたのが本作であり、舞台化やラジオドラマ化もされたことで大きな反響を呼びました。

『プラハの春』の内容

『プラハの春』の内容については、東西対立の真っ只中にあるチェコスロバキアを舞台に繰り広げられる、互いの命をかけて愛しあった男女の物語です。

小説のタイトルにもなっている「プラハの春」は実際に歴史の中で起こった出来事の名称であり、世界史の授業で習った方も多いのではないでしょうか。

登場人物

ここで、『プラハの春』の登場人物について簡単に説明しておきましょう。

・堀江亮介:在チェコスロバキア日本国大使館に勤める青年で、本作の主人公。
・カテリーナ・グレーベ:カレル大学でドイツ語講師を務める反体制活動家。
・シルビア:カテリーナの一人娘。
・稲村嘉弘:亮介の同僚の二等書記官。亮介の良き理解者でもある。

他にも、下記のような人物が出てきます。

・ハインリッヒ・シュテンツェル:カレル大学文学部講師で言語学者。
・ヤン・パラフ:カレル大学文学部の学生。
・ユルゲン・マイヤー:在プラハDDR大使館公使。
・イジー・ペリカン:プラハ国営放送で総裁を務める。

まだまだたくさん出てきます。

本作は史実に基づいた作品であり、ドゥプチェク、スボボダ、ブレジネフ、フサークなど、実在の人物も実名で多数登場するので、歴史に興味のある方は馴染みやすいかもしれません。

あらすじ

『プラハの春』のあらすじについて簡潔に書いてみますね。

時は、1967年のチェコスロバキア。

共産主義に抑圧された生活の中、経済改革と自由への道を模索し始めたプラハで、堀江亮介とカテリーナ・グレーベは運命的な出会いを果たします。

急速に惹かれあっていくものの、人種も立場も違う二人。

東西対立の真っ只中にあって、二人の愛は生命さえ脅かされかねない禁断のものでした。

やがてプラハに迫り来る暗い影・・・。

亮介とカテリーナ、それぞれ置かれた立場がまったく異なる二人がとった行動とは。

そして、二人の愛が迎える結末とは――。

『プラハの春』を読んだ感想

ここからは『プラハの春』を読んだ感想について書きますね。

まず、私にとって「プラハの春」という言葉は、学校の教科書でその名前を習った程度の知識しかありませんでした。

東欧というと日本人にはそもそもあまり馴染みがないですしね(^^;

現在は分離独立しているチェコ共和国とスロバキア共和国、かつては「チェコスロバキア」という一つの国だったそうです。

そのチェコスロバキアという国が辿ってきた歴史や周辺中欧諸国との関係など、私にとっては未知のことが多く、単なる恋愛小説にはとどまらない非常に勉強になる本でした。

ソ連共産主義の波がチェコスロバキアを抑圧していた時代――カテリーナのように、反体制活動家として身を投じる女性もたくさんいたようです。

男だからとか女だからとか、そういうことは関係なしに、ただただ自由と正義を勝ち取るために闘った「一人の人間」としての生々しい姿が、本作には描かれていました。

東(共産主義)と西(資本主義)との対立によって世界が二分され、人びともまた引き裂かれ、暮らしも大きく変わってしまった時代。

力と力のぶつかり合いがなぜ必要なのか。

なぜ人は、他者を権力で支配したがるのか。

こうした題材の本を読むたびに考えさせられます。

そしてその答えは、凡人である私にはなかなか出すことができません。

戦争を知らない世代である私が、「戦争はダメだ」「戦争は人を不幸にする」といくら叫んでも、ただの綺麗事にしか聞こえないような気がして・・・。

私が本作の中で一番感動したのは、「言葉」によって自由を勝ち取ろうとした青年たちの姿が描かれているところですね。

作中でも、チェコの人びとは「言葉の民」であると表現されています。

実際チェコは昔から文学も盛んで、『変身』のフランツ・カフカ、『兵士シュヴェイクの冒険』のヤロスラフ・ハシェクなどはチェコ出身の作家として有名ですよね。

武力を持たない市民にとって、「言葉」こそが大いなる力であり、最大の武器です。

「言葉」とは本当にすごいもので、誰かの「言葉」が人を勇気づけ、励まし、大きなうねりとなることで権力さえも圧倒していくのです。

それが分かっていたからこそ、共産主義の指導者たちは「言葉」の力を恐れ、言論を弾圧し、人びとを抑圧したのでしょう。

作中では、共産主義の実態についても事細かに描かれていました。

共産主義――誰もが平等に、幸せに暮らせる世界。

一見すると理想の社会のようにも思えますが、常に監視され、言論をはじめ様々な自由が制限されるような社会は、決して幸せとは言えないのではないでしょうか。

そう感じるのは、私が日本という資本主義の国に生まれ育った人間だからなのかもしれません。

『プラハの春』の評価

本作の販売サイトに『プラハの春』に関する評価が載っていましたので、良い評価と悪い評価について私なりにまとめてみました。

詳しい評価内容については、こちらの販売サイトをご参照ください♪

良い評価

まずは良い評価から。

・読み手の受け止め方次第で、歴史物語としても恋愛物語としても読める。
・時代の波に呑まれながらも、ただただ純粋に愛を貫く姿に胸が熱くなった。
・フィクションとノンフィクションの混ざり具合がちょうど良い。
・犠牲になった人たちの想いが根付くプラハを旅してみたいと思った。
・自分の目で見たものをどう考え、どう行動すべきかが大切かを思い知らされた。

悪い評価

では次に、悪い評価について見てみましょう。

・表紙のデザインが好みではない。
・小説なのに政治や歴史的事実に関する記述が多くて読みにくかった。
・だらだらと続く性描写がナルシシズム的でくどい。
・本作で「プラハの春」の全貌がわかるかと言うと、そうでもなかった。
・カテリーナの人物設定が理想化されすぎており、現実味がない。

まとめ

本日は、チェコスロバキアを舞台にした恋愛小説『プラハの春』について書いてきましたが、いかがでしたでしょうか。

本作は亮介とカテリーナというひと組の男女の恋愛を描いていますが、そこには作家自身がチェコスロバキアで経験した出来事が含まれており、チェコスロバキアの歴史を知る上でも非常に有益な作品であると言えるでしょう。

評価を眺めていると、政治の荒波に翻弄されながらも純粋な愛を貫く二人の姿に感動したという声がたくさん見受けられました。

人種や立場が違う中での恋愛物語は世の中に数多く存在するけれど、そこには必ずと言っていいほど哀しい歴史が存在しています。

なぜ人は他者を抑えつけたがるのか。

なぜ人は、血で血を洗うような戦争を起こしてしまうのか。

誰もが平和を望んでいるはずなのに・・・愛する人と、ただただ幸せに暮らしたいだけなのに。

自由と正義のために闘った人びとの犠牲の上に、母なる大地に大量に流されてしまった血の涙の上に美しいチェコの今があると思うと、ただただ涙があふれて止まりません。

どんなに嘆いても、どんなに憎んでも、起こってしまった過去を変えることはできません。

だからこそもう二度と戦争など起こしてはならないし、民衆一人ひとりの願いや想いを無視した一人歩きの政治など絶対にあってはならないのだと強く思いました。

人びとが経験した、辛く寒い冬・・・でも、冬は必ず春になります。

過去を乗り越え、他者を思いやり、平和を愛する心を一人ひとりが持つことで、春の息吹に満ちた明るい世の中に必ず変えていくことができると私は信じています。

ちなみに、チェコと言えば有名な音楽家が二人いますね。

「モルダウ(チェコ語では「ブルタバ」)」で知られるスメタナと、「新世界」で知られるドヴォルザークです。

「モルダウ」は学校の授業で習った方も多いのではないでしょうか。

本作の中でも節々にその名が登場する「ブルタバ」。

ブルタバ川の情景を描いたこの曲は、聴けば聴くほどに涙が止まらなくなる美しい曲です(;_;)

「ブルタバ」を聴きつつ、「百塔の町」と形容される美しいプラハの街に想いを馳せる――チェコスロバキアの過去に埋もれた哀しくも美しい愛の物語を、ぜひあなたも体感してみてくださいね(^^)

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以上、読書ミュージアム館長の秋月春花がお送りしました♪

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